〜伝統工芸を通じて地域を、そして日本を元気にしたい〜

一般社団法人伝統文化デジタル協議会(通称:TCDC)は「DXで日本の伝統文化を未来と世界へ」を合言葉に、令和誕生の年である2019年5月に設立しました。

私は、元々地方の行政機関で勤務していました。
担当業務の一環として伝統工芸に携わった際に、20年後に伝統工芸が「産業」として残っているのか不安に感じました。

伝統工芸に未来がないと思ったわけではありません。むしろ、ひたむきに打ち込む職人や数百年の間伝えられてきた美しい技を見る度に、伝統工芸の可能性を大いに感じました。

なのになぜ存続に不安を持ったか…行政をはじめ、伝統工芸存続のために応援をしたいと思っている人はたくさんいます。
伝統工芸を応援したい人達と応援してもらいたい人達が、向かっている方向は同じなのに、ちょっとした掛け違いで、なかなか埋まらない溝があるのを感じていました。
掛け違いの理由は様々ですが、その溝を埋めてくれるサポートがあればうまく回るのではないかと思っていました。

ものづくりが好きで、職人になりたいと思う若者がいる一方で、後継者がおらず、数百年続いてきた技術が途絶える現場があります。ここには職人の取材とメディアが必要でした。
子どもにものづくり体験をさせたい学校や親がいる一方で、集客に苦労している体験イベントがあります。ここには情報発信機能が必要でした。

製造以外の面で圧倒的にマンパワーが足りない現場でどうすればいいか…

その方向性が見出せなかった時、「デジタル化」「DX」することで新たな伝統工芸のカタチが見えるのではないか、とヒントをいただきました。
例えば、伝統工芸を応援したい側と、応援してもらい側の形を言語化し、マッチングするプラットフォームがあれば、感じていた溝は埋まるのではないか。
これまでアナログでやってきたことをデジタル化することで、見えなかった課題を顕在化させ、DXで解決することで、新しい可能性が開けると感じました。

その後「伝統工芸の現場側に軸足を置いた活動をしたい」その思いに賛同してくださる方々のご支援をいただき、この協議会を立ち上げました。

2020年の東京オリンピックでは、日本の伝統文化は世界の注目を浴びるはずでしたが、コロナウィルスの影響により、オリンピックは延期、夏祭りや地域のお祭りはことごとく中止になりました。
そのような中でも、地元や近隣への宿泊観光や日帰り観光をする「マイクロツーリズム」により、地元の伝統や文化に注目する動きも出てきました。

伝統工芸品は、何百年も昔からその土地の歴史・文化・風土により育まれ、承継されてきたもので、地域を語るには欠かせない財産です。
私は、伝統工芸を通して伝統文化が見直されることにより、地域が活性化していくと思っています。また地域が活性化することで、日本が元気になると信じています。

そしてその先には、日本の伝統工芸が未来や世界に繋がっていくと信じています。

一般社団法人伝統文化デジタル協議会
代 表  平井 みどり